ECUソケット加工

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ロムチューンする場合、ROMの抜き差しが簡単に出来るようにソケット加工をしますが、自分で純正ROMを取り外す作業は結構敷居が高いですよね。
ソケット加工したからといってクルマが速くなる訳ではありませんが、ロムチューンの事前準備としてやっておくのも良いかと。

実際やってみると、極端に高い工具を使わずにソケット化できましたので、そのコツも含めて紹介したいと思います。
他車種は実際に作業した事がありませんので、以下の記事はNA8CのBPF3-881のケースとして読んでいただければと思います。


作業前に
ROMを触るときは、 くれぐれも静電気を飛ばさないようにして下さい。
一発でROMの内部が壊れます。
あらかじめ、家のコンセント付近にあるアースを手元に引っ張ってきたり、金属に触れて自分の体に帯電した電気を放電してから作業することを強くお勧めします。


用意するモノ
・半田ごて
普通の半田ごてでOK。コテ先は少し細い方が良いと思います。
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・半田吸い
ポンプ式で半田を吸い出すヤツでも良いですが、コテと一体型になった「はんだシュッ太郎@サンハヤト」を激しくお勧めします。
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半田ごてとポンプ式を別々に使うと、半田を溶かす側と吸い出す側が同じ基板面で出来ないので、結構不便を感じました。
シュッ太郎でやると、ECU片面のみで作業可能ですし「ハンダ吸い」が簡単確実に出来ます。
また、電動ポンプ付きのモノは文句無しの性能ですが価格がネック。
実際使ってみると、シュッ太郎でも十分使える事を確認しましたので、こちらをお勧めします。

・ハンダ吸い取り線
極細金属線を編んでテープ状にしたもので、毛細管現象にて半田を吸い取るもの。
 ROMを外した後、配線パターンに僅かに残ったハンダを取り除く為に使います。
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・ICソケット
日本橋の共立電子やマルツパーツ館等で入手できます。28ピンのものを購入。
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ROMを取り外す
ECUの封印を切り、 表裏のフタを外します。
四隅のネジは結構硬く締まっているので、ちゃんとした工具を使ってナメ無いよう注意してください。

コレが今回外す予定のROM。
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ECUを裏返し、ハンダを吸い出す箇所を良ーく確認。
そして深呼吸。失敗するとシャレにならんぞと自分に言い聞かせる(笑)
気持が落ち着いたら、おもむろにシュッ太郎を手に、ハンダを片っ端から吸い出していきます。

シュッ太郎の先にはハンダ吸出し用の穴が開いていますので、そこにROM足を差込みしばし待つ...
コツは良く半田を溶かし込んでから一気に吸い出すことです。基板に少量の半田が残ってしまうと、その部分は吸い出しにくくなりますので。
あと、ROMの足を曲げた後に半田付けされている意地の悪い箇所がありますので、そこはハンダを溶かした後、 コテ先にてROM足を起こしつつ吸い出すと上手くいくかと。

ハンダを吸い出した後、こんな感じになっていればOK。(以下スルーホールと記)
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全ピンのハンダが吸い出せましたら、ハンダ吸い取り線にて残った少量ハンダを除去。

ROM足周辺がきれいになったら、ROM足を細いマイナスドライバー等の先で弾き、その音を聞きます。
「ピンピン」と音が響けば、ちゃんとスルーホールになっています。
違う音のする足があれば、少しハンダが残っているかも知れません。基板の裏表を良く見て必要なら再度ハンダを吸い取っておきます。

次は基板をECUケースから外します。
ECU側面を見ると、小さめのネジが2つありますのでこれを外し、その後基板裏面の+ネジを外すと、ケースから分離できます。

いよいよROMを基板から外す段取りができました。
ROMと基板の間に細めのマイナスドライバーを差し込み、軽くこじってみます。
ドライバーの先にテープ等巻いておいて、基板やROMに傷をつけないようにすると良いでしょう。
全ピンがスルーホールになっていれば、小さくパリッと音を立ててROMが外れます。
ポイントは「軽くこじる」です。強くこじると基板やROMに傷をつけてしまうどころか、配線パターンまで剥がしてしまいますので、 ここは一つ慎重に作業してください。
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ROMが外れた基板には多少のハンダが残っていますので、吸い取り線できれいにしたらこれで「取り外し」作業は終了です。
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次にROMソケットをはめ込みますが、ROMの差込方向を示す「クボミ」の方向と、基板の「28ピン」位置に気をつけてください。
後は基板裏からそれをハンダ付けします。
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ハンダ付け終了後、各端子同士に導通が「無い」事を確認します。
ただし、1番ピンと28番ピン間は導通「あり」ですのでお気をつけを。

そのままROMを差し込んでも良いですが、ゼロプレッシャーソケットという便利なものもありますので、 何回も抜き差しするようなら取り付けるのも良いかと思います。

ソケット化されたECUにROMを差込み(方向にはくれぐれも注意して)、車のハーネスを接続してキーをひねってみて下さい。
何事もなかったようにエンジンがかかれば成功です!
かなり嬉しいと思いますよ(笑)

これでROMチューンが心置きなく出来ます。大いに楽しんでください!