機械式LSD 「カーツ製」 の分解と、効きを弱める組み方

先日作ったSSTにデフをセット。
プレート型のトルクレンチでゆっくりトルクをかけて行き、 まずはデフォルトのイニシャルトルク測ってみます。

ズルッと滑った時の値は約70Nm(7Kg・m強)。
SSTにささるソケットは12.7sqのHEXでサイズは10。
img_20090728T200949796


分解
で、おもむろに分解開始。1発目のゆるめはSSTにセットして。 4本全てゆるんだら作業台の上で分解します。
img_20090728T200950968

ケース蓋へのテンションが無くなった位置です。結構なプリロードですね。
img_20090728T200951796


パカッと開いたところ。蓋のセンターにはサイドギヤ用のメタル?が張り付いてました。
img_20090728T200952437 img_20090728T200953250

サラバネ。クラッチプレート側に反っています。
img_20090728T200953984 img_20090728T200954671

クラッチプレート(外爪)。ケースの溝にはまってます。逆に内爪はサイドギアにはまります。
img_20090728T200955046 img_20090728T200955421

 

外爪→内爪→外爪→内爪→外爪→内爪で片側計6枚のクラッチプレートです。
img_20090728T200955890

 

プレッシャーリングも外爪と同じケース外側のミゾにキチキチな感じで入ってます。
img_20090728T200956468 img_20090728T200957093

プレッシャーリングを外すとサイドギア→ピニオン&ピニオン十字軸が外れてきます。
img_20090728T200957703 img_20090728T200958609

反対側のプレッシャーリング~クラッチプレートを外したところ。サラバネが見えますね。
img_20090728T200959031


組み立て(LSDの全体的な効きを弱くする方法)
まず、サラバネの方向を確認して (デフ内側に反っている)組み込み。
元々外爪内爪外爪内爪外爪内爪 (外内交互) に入っているクラッチプレートを

外爪外爪 内爪内爪 外爪内爪の順で入れます。

→プレッシャーリング→サイドギアを順次入れて...
ピニオン&ピニオン十字軸→サイドギア→プレッシャーリングの順に組んでいきます。
img_20090728T201000218 img_20090728T201000718

 

以降、反対側も同じようにクラッチプレートの順番に注意して組んでください。
奥側と順番が逆になります。

まず内爪
img_20090728T201001156 img_20090728T201001609

外爪
img_20090728T201001968 img_20090728T201002390

内爪の次に内爪
img_20090728T201002828 img_20090728T201003234

外爪の次に外爪
img_20090728T201003640 img_20090728T201003984

サラバネ(中心の浮く面が外側になります)で、部品の組み込みは終了。
あとはケースの蓋をして、4本のM6ネジを10Nmで締めつけます。
img_20090728T201004359 img_20090728T201004734


組み終わってからイニシャルを測ると、約60Nm。デフォルトに比べ、10Nmほど下がりました。


イニシャルトルクを落とす方法
クラッチプレートにWPC加工を施す、とカーツさんから教えていただきました。
イニシャルトルクはカーツの場合、出荷時6kg~7kg程度。
慣らしが終わる時点で約2kg程落ちて5kg程度になるそうです。


数度のオイル交換をしつつ使ってきましたが、ターンインでアンダーが出やすい、アンダー→オーバーステアが顕著など、機械式独特の動きはあるものの、程度はデフォルトより明らかに小さいです。

 

LSDのイニシャルトルク測定SST

機械式LSDのイニシャルトルクを測るSSTを作ってみました。
用意したのはNA8C(Sr.2)の中古ドライブシャフト2本で、早速分解します。
img_20090722T104020840

 

まずブーツバンドのカシメをマイナスドライバー等で開き、太い方と細い方を外す。ブーツをずらすと、 グリスに埋もれたジョイントが顔を出します。
img_20090722T104023168 img_20090722T104024309 img_20090722T104024949 img_20090722T104025496 img_20090722T104026106 img_20090722T104026715

ひるむ量(笑)のグリスを拭いていくと、ジョイントケースのフチにCリングが出てきます。
img_20090722T104027153 img_20090722T104027762

張力は弱いので、軽くこじれば簡単に外れます。
img_20090722T104028465 img_20090722T104028137

ドラシャを引き上げると分離完了。
img_20090722T104028903

シャフトのボールベアリングケースは、先端のクリップを外すとコレまた簡単に分解できます。
img_20090722T104029356 img_20090722T104029793 img_20090722T104030246 img_20090722T104030778

部品構成はこんな感じ。
img_20090722T104031278

 

思ったより早く作業が終わり時間に余裕があったので、分離したベアリングケースを持ち、ウエダパワーサービスへ向かいます。

ちょうどお手すきのようでしたので、早速1つ目が旋盤にセットされました。
img_20090722T104032012

どの様にカットしたかは、そのかたわれで想像してみてください。
img_20090722T104032449

 

トルクレンチ側
シャフトの根元でカットし、センターにM12×1.75のタップを立てていただきました。
普通のボルトやキャップボルトなど選択肢があるのでコレがいいかなと。
img_20090722T104032856 img_20090722T104033309

 

固定側
ケースの端を残してカットした面に、鉄の角材を置きます。
img_20090722T104033715 img_20090722T104034090

 

溶接。
img_20090722T104034449

img_20090722T104034840


最初、私が考えていたモノに対し、3倍以上のクォリティーと強度で出来上がりました(笑)img_20090722T104035199

 

おまけ
ウエダさんが作業されてる間、端材の山を見ていたら、ムムッと気になるモノを発見。
鉄パイプの輪切。
img_20090722T104035528

まさかねーと思いつつ、何故か持っていたデフのサイドベアリングにあてがうと...img_20090722T104035856

クワーッ!あらかじめオーダーしたかのように、絶妙なクリアランスで収まったではないですか!
もしかしてウエダさん、コッソリ用意してくれてたんじゃ...(笑)

 

img_20090722T104316012
ウエダさん、ありがとうございました。

 

ROMエミュレーター 「ERT」の取り付け

ERTの取り付け
ECUからROMを外してROMプローブを取り付けます。
img_20090423T005857281 img_20090423T005858734

ROMプローブのコネクターをERTに差込み、先ほど外したROMをERTのソケットに取り付ける。
img_20090423T005859625 img_20090423T005900437

ROMプローブとコネクター、並びにROMの方向に十分注意してくださいね。

ECUを車両に取り付け、ERT本体のスイッチ設定を確認、電源を接続してキーをひねればエンジンがかかります。
img_20090423T005901234

ここで、電源接続に関する重要なポイントがありまして、12Vを取る回路は、イグニッション(IGN)「ON」 の時に電源供給されている箇所につないでください。
アクセサリー(ACC)ではセルを回す間、12Vが供給されずエンジンがかかりません。

この失敗を私はしてしまい(12VをACCにつないだ)、K-スペの「はぎー」さんに「エンジンがかかりません」と慌てて電話し、 「IGNではなく、ACCにつないでませんか?」とのアドバイスから誤結線に気づきました。

ERTには電源供給時に点灯する小さな黄色いランプが実装されていて、確かにセルを回すと消灯します。
これではECUにとってROMを外されたのと同じ事になりますから、エンジンがかからないのは当然のことです。
結線を直し(ACC→ECU1B端子)キーをひねると、無事エンジンがかかりました。

あとはERTにROMデータ(.bin)を転送してエミュレーションモードに切替、 不安定な動きをしない事が確認出来たら取り付け完了です。

 

エミュレーションソフト・ERTオンラインエディターを使う
まず、ERTに転送したROMデーター(.bin)を読み込みます。
img_20090423T005902125

次にMap画面を作成→Map0が出てきたら、右クリックでプロパティを表示。
img_20090423T005902656

img_20090423T005903156

「Map0」の名称は任意で変更できますので、仮に「点火Map」と変更。
開始アドレスとマップの大きさを入力すれば、画面に点火マップが表示されます。
img_20090423T005904093

img_20090423T011750531 

マップ値は16進がデフォルトですが、プロパティ内の演算式に式を入力すれば、演算後の数値をマップ表示に反映できます。もちろん編集も可。

同じように燃料増量マップ、レブリミッターなど、アドレス指定してやればいくつでもエミュレーション用のマップを作ることが出来ます。

私の場合、今まで把握できていないアドレスを見つけられないかと、BPF3-881Bのデータ(32KB分)全体を、 16×32のマップ60枚余りに分割して表示させ、エンジンをかけながら1枚1枚マップトレースするという事をやってます。
何か新しい発見があるといいのですが(笑)

ROMエミュレーター 「ERT」の概要

K-specification Original(K-スペ) さんからの提案

ERTについて個人的に興味があり、K-スペさんとメールのやり取りを何度かしていたのですが、実際使うのが1番じゃありませんか?という話になって、私がロードスターでの動作確認とERTのハードとソフト使い心地などをモニターさせていただく事になりました。

お試し出来るなんてとてもありがたいご提案です。
私でいいのかなぁ...と頭をよぎりましたが、めったにない機会ですのでお言葉に甘えることにしました。
一般ユーザーの立場としてモニターさせていただきますので、誇張せず、正直な意見をフィードバックしようと思います。

程なく届いたERT。
img_20090409T195238953

4連ROMチェンジャーと同じく、基盤のパターン設計はもとより筐体への収まり具合など、 個人レベルでの製品とは思えないクオリィティーの高さです。

事前にダウンロードしていた2部構成の説明書を何度も読んで、その構成やソフトの使い方を理解してから動作確認に臨みます。 壊すとシャレにならないし(笑)

では、取り付けの前に、ERTの出来る事をまずは紹介。

 

ERTの概要
いきなり例えになりますが、仮に私が某氏からROMチューンの依頼を受けたとします。
そこでやる事といえば、

1.車の仕様と「どんな感じにしたいか」など要望を確認。
2.氏の車にテクエジなど取り付け、空燃比等各ログをとって現状を把握する。
3.ログを凝視して、燃調と点火時期をNA8C専用FIREエディターで書き換える。
4.レブリミッター等、バイナリエディターで書き換える。
5.出来たバイナリファイルをロムライターでEP-ROMに焼く。
6.ROMを装着、手順2.に戻って納得出来るデータになるまでループが続く(笑)

データの違いをはっきりと体感するため、多少極端なデータを4種類作って4つのROMに焼き、 ROMチェンジャーで切替ながら実走して確認すれば多少時間は節約できます。
しかしデータの数だけEP-ROMは必要ですし、結構な手間であるのは確かです。

ただ、手順2~6を実践すればする程、実走データが蓄積されるので時間の許す限りやってみたいのが正直なところ。

そこで、このERTを導入するとどうなるか。

実走しながらECUがアクセスしているバイナリデーターを更新できるので、納得できるデータ(追い込んだデータ) を短時間で作る事が出来ます。
要は手順3.と4.とループが無くなり、ROMライターでデーターを焼く回数も1回。使うEP-ROMも1つという事なのです。

限られた時間、それすらも確保しにくい私にとって、効率よく、よりいいものが作れるERTは、言い換えれば「時間を作り出す」 ツールと言えるのではないでしょうか。

 

ERTとECUをつないでみる
まず手持ちのECUのEP-ROM(以下ROMと表現)を外し、そのソケットにROMプローブを挿す。
プローブ反対側のコネクターをERTに挿す。
ERTのROMソケットにECUから外したROMを装着。
この時点でECUに装着されていたROMを外に引き出した状態となり、 ERTに電源を供給すればECUはROMにアクセスしエンジンがかかります。
img_20090409T195242187

ERTオンラインエディターをインストールしたPCとERTをRS232Cケーブルで接続し、互いの通信を確立した後、 ECUに装着されていたROMと同一のデータ(.binファイル)をPCからERTのRAMに転送する。
img_20090409T195244062

これでERTをROMエミュレーターとして使う準備が出来ました。

 

データーの流れ
ERTオンラインエディターでモード切替(ROMモード→エミュレーションモード)のコマンドを実行すると、 ECUのアクセス先がROMからERTのRAMに切り替わり、ECUはROMに依存しない状態(転送したRAM内のデータ) で動作する事になります。
img_20090409T195245109

あとはPCに表示されているマップの数値を変更すれば、RAM内のデーターに即反映されるので、納得いくまで何度でもデーター変更し、 その結果を実走で確認すれば良いわけです。
img_20090409T195246296

さて、納得できるデーターが出来たと仮定し、そのbinデータを「GENrom-1.bin」とします。
ここでエンジンを切ってERTの電源を落としてしまうと、せっかく作った「GENrom-1.bin」データーが消えてしまいますので、セ- ブする必要があります。

ERTにはRAM内のデータを任意のタイミングで保存できる領域、EEPROMが組み込まれているので、PCで 「ERTデータを起動データー領域に保存」のコマンドを実行すれば「GENrom-1.bin」 はERTのRAMからEEPROMに保存できます。
img_20090409T211950531

そして、PCに表示されているマップデータ(.binファイル)を任意のフォルダにセーブすれば一連の操作は完了、 エンジンを切っても差し支えない状態になります。

再びエンジンをかけた場合、ECUは初爆から数秒間ROMにアクセスしていますが、その間にEEPROMから自動的に 「GENrom-1.bin」がRAMに転送されています。
EEPROM→RAMに転送(数秒間のオートロード)が完了すれば、ECUのアクセス先がRAMに自動的に切り替わり、 リアルタイムにデータ変更できる状態となります。
img_20090409T211952921


机上編では各コマンドに対しデータがどの様に動くかを重点的に書きましたので、多少複雑に感じられたかも知れませんが、 実際に使ってみるとERTオンラインエディターが使いやすいシンプルな構成であるのと同時に、マップ編集機能も「こう出来たら便利だな~」 という所がキッチリ押さえられていますので、2、3度使えばすぐ慣れてしまうと思います。

細かいハナシはこの辺りで。