【IJPU】 インジェクタ・スケーリング

センサー入力と各補機との接続が完了し、いよいよ実走して適合をとれる段階に来ました。
点火時期はとりあえず現状のROMデータを打ち込み、燃調ベースマップから作成にかかります。

テクエジの電圧出力を接続しているので、ラムダ補正を止めた状態で実走し、「Q」ボタン連打(クイックラムダ)で空燃比マップを反映した燃料マップを作りました。

何となくまともに走るようになった時点で帰宅。 
机上で改めて3Dマップを見ると、空燃比マップを元に調整された箇所の交点(Effcy kPa-RPM)は黒丸が表示されていました。

書き換わった箇所(実走時アクセスした箇所)のみそうなっているので、まるで剣山のような形をしています(笑)
デコボコの3Dマップをなだらかな形にして、こんなものかな?となった時点で、高負荷高回転辺りが「120」辺りの数値になっている事に気づく。 

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???

 

空燃比マップを元に設定された値ですので「そんなもの」と思えば、取り扱う上では問題ありませんが、 感覚的に違和感があったので、うやむやにしていたインジェクター関連の係数をもう一度確認することにしました。

インジェクターに関するパラメーターの中で「Injector Scaling  : IJPU」という項目があり、リファレンスにNAは15~20(msec)、ターボは10~15(msec)に設定と書いています。 

先ほどクイックラムダで走った時は「15」と設定していました。 
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このIJPUは燃料マップ上で「100」を入力したときのインジェクター駆動時間を設定するもので、「15」と入力した場合、マップで「100」の部位にアクセスしたとき「15msec」噴射、マップ値「50」なら「7.5msec」噴射、という感じになります。 
(注:無効噴射や各補正値のからみで、実噴射量では無いと思います。)

また、100系の燃料マップ数値は「0~400」まで入力可能なので、「100」をオーバーする数値になっていても慌てる必要はないかと。 ← 実は結構慌てた(笑)

現状のIJPU=「15」でマップ値「120」なら「18(msec)」噴射している事になりますから、IJPU=「20」にすれば、「90」という数値に燃料マップ値が換わる書き換わるんじゃ...
早速IJPUを「20」に変更すると、それに見合った数値にマップ全体が書き換わりました。 

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という訳で、理屈からいえば燃料マップの上限「400」を最大限使えるIJPUに設定すれば、かなり細かな燃料マップを作ることが可能なんですね。
IJPUと空燃比さえ把握しておけば、流用するインジェクターの選定に、それ程シビアにならなくて良さそうです。 (全噴射で足りる、足りないという話は別ですよ) 

改めてmotecの汎用性の高さを感じた次第。
 

m84でエアコン制御

m84には補助出力(Aux output)が8チャンネルあり、ECU Managerでの割り当てと結線をすればリレー等を自由に動かす事ができます。
最低限必要なフューエルポンプとクーリングファンはすでに割り当てていますが、残りをエアコン制御に割り当ててみました。

 

スイッチを入れて、エアコンが入るだけの事なので、その喜びを共感しにくいネタですが、意外と普通に動かすのにコツがいるんですよ。

 

エアコン制御に必要なチャンネル割り当ては以下の通り。
・【B5】AT3 : A/C Request  エアコンスイッチ
・【A32】AUX6 : A/C Clutch エアコンリレー
・【A31】AUX5 : A/C Fan     コンデンサファンリレー

 

Auxiliary Output は基本的にアースコントロールとして使います。
これは「Output」と表現されていますが、設定した条件が成立してスイッチ「ON」となった時、電圧等の「出力」 をするのではなく、車体側で電源供給されたリレーコイルの末端(下流)をmotecのスイッチングでアースに落とし回路形成する、 という使い方をします。
(設定によりDC+電圧も出力可能のようですが、エアコン制御に関してはその様に使う事はありません。)

NA8Cの電気回路図を確認すると、純正ECUでアースコントロールする回路になっていましたので、 改めて配線する必要は無いと思います。

 

A/C Request
ここはmotecに対し、 エアコンスイッチの状態を認識させる部分になります。
純正ECUで割り当られるピンの電圧を確認すると、
・エアコンスイッチ「OFF」で12V(Batt電圧)
・エアコンスイッチ「ON」+ブロアファン「OFF」で12V(Batt電圧)
・エアコンスイッチ「ON」+ブロアファン「1以上」(エアコン動作条件成立)で1V以下
でしたので、A/C Requestの設定値もそれに合わせます。

ここの設定が出来れば、A/C Requestの「ON」フラグが立つと、Auxiliary Outputに設定された「A/C~」 の制御をmotecが連動してくれるという訳。
最初は車体にmotecをつながず、仮電源で条件のみを作りA/C Requestの動作を確認します。
エアコン「OFF」時の入力は12Vですので、【B5】にその電圧を入れてA/C Request「OFF」、アースに落として (0V)「ON」を View Screen – Statusで確認。

 

A/C Request「OFF」
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A/C Request「ON」
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実際に車体につないでみると、motecへの入力値はエアコン「OFF」時で3.4V辺りを示し、「ON」では1Vでした。

つないだ線を外し、負荷の無い状態でAT3の電圧を Raw Input Values で見ると、5V辺りの電圧を示します。

1kΩの抵抗で5Vにプルアップされていて、そこを測っているのでそういう事になるんだと思います。
たぶん(笑)

 

 

エアコンON-OFFを認識する電圧のしきい値は、最初1Vまでドロップしたのでその辺りの数値を入れていましたが、ファンの風量を上げるとエアコンリクエストが切れてしまいます。

よくよく確かめると、最小と最大風量位置では電圧が違っていました(^_^;)
なので下の数値に修正。

 

A/C Fan
コンデンサファンの回路にA/C Fanを割り当てると、水温設定と共にA/C「ON」でファンを動作させる事ができます。
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A/C Clutch
「ON」「OFF」 の設定値をスロットルポジションと回転数、それぞれ入力します。
んが、英語の説明文をナナメ読みしたばっかりに、ハマリました(笑)

ポイントは設定値以下で「ON」、 設定値以上で「OFF」となる数値入力が必要で、 しかもスロポジと回転数の「ON」条件が両方成立しないと動作しないという事です。
最初、回転数の「ON側」に関していうと、アイドル状態以上で「ON」だろうと思い込み、設定値を「700」と入れていましたが、 実際は設定値以下は「ON」なので、回転を上げて行ってこの回転数でエアコンクラッチを「切り」たい数値を入れるのが正解でした。
なので「5000」と入力。

対する「OFF側」は「ON側」より大きな数値を入れたらOKです。
スロポジも同じく、例えば開度70%でクラッチを切りたいなら「70」を入力し、「OFF側」はそれ以上の数値を入れます。
後は実際にエアコンを入れて走行し、回転数とスロットル開度の兼ね合いを調整し、いい感じになるよう数値を変更すれば良いと思います。
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Test Outputs
motecは自身で擬似信号を出力し、制御する負荷を模擬的に動かす “Test Outputs” という機能があります。

motecにPCをつなぎ、ACC「ON」でTest Outputパラメーターを表示。
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結線に問題なければ、AUX6 – A/C Clutch を選択し Test Status を押すとクラッチが入り、AUX5 – A/C Fan も同じようにすると、コンデンサファンが回ります。
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F3キーを押し、View Screen を出して、エアコンスイッチとブロアスイッチを入れると、「ON」に反転。
これでエアコン関連の結線に問題ない事が確認できました。

この状態に持っていった後、実動作でリレー等の動きに不具合がある場合、設定に問題がある可能性が高いので、 トラブルシューティングに役立ちます。

また、インジェクターやプラグ、ラジエターファン、フューエルポンプなど、 接続している負荷の動作を事前に確認することが出来ますので、結線チェックを効率よく進める事も可能です。