直圧式サンドブラストの自作

そもそもサンドブラストに興味があったのは、10年ほど前BMW2002に乗っていた時のこと。

当時は部品も少なく、エンジン部品もきれいにして極力再利用しなくてはいけません。

そんな時活躍するのがサンドブラストで、汚れと腐食で汚くなったカムカバーやロアアームが瞬く間に新品部品のようになりました。
当時ブラスト処理できたのも、専門ショップと付き合いがあったからこそ使えた工具でしたが、最近は格安工具店が増えてきて、 その気になれば個人所有もそんなに無茶な話ではなくなってきた感じがします。

しかし安いブラストを手に入れて、1馬力そこそこのコンプレッサーにつなぎ使ってみると、 あまりの効率の悪さに驚いた人も多いのではないでしょうか?

一番安く手に入るのが「吸い上げ式」で、カップやバケツ等にメディアを入れて霧吹きの原理で砂を吹き付けるもの。
メディアを吸い上げる事にパワーを食われてしまうので、非力なコンプレッサーでは安定したブラストは出来ません。

じゃあ落下式はどうかと言うと、これもノズル径が大きいものだと小さなコンプレッサーではチョッと苦しい。
吸い上げ式に比べたら使える方だと思いますが、キャビネット内ではメディアタンクが邪魔で取り回しが悪いと感じる事もしばしば。

そんな中、1万円そこそこの安いコンプレッサーで、何とか快適に使えるブラストが出来ないかと調べると、「直圧式」というものを発見。 

そういえばオールドタイマー誌にも載っていたような気がして、バックナンバーを片っ端から読んでみました。(旧車に乗っていた関係で、 創刊号から愛読しておりました。60号くらいでさすがに購読はやめましたが)

構造を見る限り、適当な配管で組めそうに思いましたが、最大のネックはメディアを入れる容器を加圧しないといけない事。

プロパンボンベもそう簡単に手に入れる事は出来ませんし、圧力容器をなめてかかると大怪我しますので、 その辺りをどう解決するかとしばし考える。
結局、10年物のコンプレッサーを流用して作ることにしました。
img_20060830T161034921 元はこんなの

 

いろんな配管がタンクから出ていますので、加工も最小限で済みそうですし、圧力計などこまごました部品も流用できそう。
しかも圧力タンクそのものですから加圧するのも安心です。


コンプレッサー分解と部品構成
まずは旧コンプレッサーをばらして、 タンク単品にします。
タンクから出ているネジ部のサイズを測り、使うネジの大きさや、配管の太さなどを決めていきます。
そして出来た構成図を元に部品発注。


構成図(コンプレッサータンク流用)
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タンク加工
どうしても1箇所ニップルの溶接が必要だったので、 いつもの職人さんの所へ。 

MIGにてババッと溶接。

職人さんいわく、「圧力容器ってホンマは加工したらアカンし、耐圧試験もやった方がエエで」との事。

あくまで自己責任ということで、加工していただきました。

次にタンクを自立させるために、手持ちのアングル材を切った貼ったします。
アングルを溶接すると結構歪むので、今回は穴あけとボルトナットで固定しました。

穴あけが適当なのか、なかなかちゃんと立ってくれない(笑)
微修正してガタを無くした後、キャスターを付けて自立作業は終了。

img_20060830T161036828 正直一番時間がかかった...


配管作業
図面通りにとりあえず組んでみました。

レギュレーターの固定を済まし、あとは空気配管のネジを締めるだけです。
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実際に組んでみると、頭に描いただけの構成より、取り回しが良かったり収まりの自然な構成が見えてきたりしますので、 適宜修正しつつ組んでいきます。
一番楽しい時間ですね。
上の構成図は最終のもので、実は3回変更しています。


完成品(Ver.1)
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使ってみて 
最初は具合よくメディアが出てきますが、すぐに止まってエアだけ噴き出す現象に悩まされる。 

タンクをガシャガシャと振ると再び出てくるのだが、片手にノズルを持ちつつ反対の手でタンクを揺さぶるのは非常に面倒だし、 作業に集中できないのも困る。

不具合箇所を探すため、一旦チーズの部分を外し、 上のバルブを開けて覗き込むと下の図のように溜まったメディアが見えました。
で、タンクを揺さぶると、サラサラとメディアが落ちていきます。
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タンク内にかかる圧力でメディアが出てきそうなものですが、そうはいかないみたいです。 

この現象を解消するにはタンクの底に急な角度をつけるか、タンクの直径を小さくすれば解決しそうですが、その加工も出来そうに無い。 

タンク内に1/3以上のメディアを入れたら、とりあえず連続使用できそうですが、違うメディアに入れ替えるのにかなり手間がかかりますね。

というわけで、塩ビの配管を使ってタンクを作る事にします。

知り合いの建築士に聞いたところ、排水用の塩ビ管で「VP」という規格のものは、 水漏れをチェックするのに17kgf/cm2程の圧力をかけているそうなので、1~2kgf/cm2では問題ないように思います。 (あくまで独断ですが)

 

構成図(VP配管タンク)
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青タンクを取って、そこに塩ビタンク(配管径10mm)をつけましたので、その固定方法を決めるのに試行錯誤。
何とか固定し、配管変更してそれらしい形になった。(と思う)

 

完成品(Ver.2)
img_20060902T195407343 青タンクより確実に地味(笑)
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タンクに空ける穴はできるだけ少ない方が良いので、TSキャップの上下2箇所にに下穴を開け、1/2タップでネジを切ります。
img_20111002T1956218591/2タップ。結構でかい。 


ネジが直接ささってます。
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で、実際使ってみると、格好はともかく安定した動作で大満足。
やっと使えるツールになりました。


メディアの比較
サンドブラストするとどうなるか、比較してみます。

元はこんな感じ。
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左がアルミナサンド、右がガラスビーズです。
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アルミナサンド
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ガラスビーズ
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アルミナはつや消しでシックな感じ、ガラスビーズは缶スプレーでシルバーを塗った感じで安っぽく見える(笑)

個人的にはアルミナの方が好きですが、ちょっと汚れた手で触ると表面の細かいクボミにそれが入り込んでなかなか取れませんので、 実用的では無いように思います。

対してガラスビーズはツルッとしているので、拭けば汚れは取れます。
普通に使うにはコッチの方でしょうね。

 

カテゴリー: Tool

Tech Edgeバージョンアップ

1. RJ45S接続状態でLD02よりログスタートさせる
私のロットは1128。
このモデルでは、スプリッターを接続した状態だとLD02のロアボタンでログのON-OFFができないとの事。
本国ページに対処方法が紹介されていましたが、 写真が不鮮明でどうも分かりづらい。
細かい点をギアガレージさんに問い合わせ、対処してみました。

RJ45S裏面のパターンをよく見て、2箇所カットします。(写真×印)
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加工部のアップ。
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後は各モジュラーの「2」番ピン間に小信号用ダイオードを2つ割り込ませばOKです。
ダイオードの方向に注意してくださいね。
意外と簡単でしょ?

2.1MBメモリー増設
WBO2A0というモデルの内蔵メモリは32KB。
100msのサンプリングレート(0.1秒毎に各センサー値を記録する)に設定すると128秒記録可能で、200msだと256秒 (4分27秒)ロギングできます。

それ以上の時間を望むならサンプリングレートを大きくするか、PCを車載してテクエジと接続しないといけません。
しかしPC車載はHDを振動で痛めますし、あまり大きなレートだとログデータが曖昧になりますので、どうしたものかと思っていたところ、 1MBの内蔵メモリーを搭載した2A1がリリースされました。
それに伴ってバージョンアップキットも発売されましたのですぐに注文(笑)

そのキットを組んでやると容量が約30倍になり、200msのレートで133分のロギングがテクエジ本体のみで可能となります。

届いたキット内容は、ログボタンとLEDが付いたログモジュール、MPUに12ピンヘッダ、予備の抵抗、ジャンパー線といったところ。
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このバージョンアップには、ハンダ付け以外に抵抗やコンデンサの撤去、基板のパターンカット等必要ですので、 自信が無い方はテクエジ本体をギアガレージに送って作業してもらう事も可能です。

キットと一緒に加工場所や要領が記された説明書も付いてきますので、そんなに心配する事は無いと思いますが。


・基板加工と部品の取り付け
MPUと小さい8ピンのICをソケットから外し、抵抗(R301、R302、 R303)とコンデンサ(C311)を基板から撤去します。(ハンダシュッ太郎大活躍)
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パタ ーンカット位置は、基板表側のマーキング1箇所と基板裏のマーキング2箇所となります。
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裏側上の赤丸箇所はアースから浮かす為のカットになります。
パターンの周りを3箇所カットするので結構面倒ですが、気長に作業してくださいね。
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作業後は各部の導通なしを確認しておくと吉。

抵抗2箇所(R1とR406)を基板から外して裏の同じ位置にハンダ付けします。
写真は左右天地逆です。
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キット付属の1.5kΩ(R1)と47kΩ(R406)の抵抗は、取り外す時に破損して使えなくなった事を想定し、 予備として付属されています。
上手く外せば元々付いていた抵抗は再利用可能です。


ログモジュール用の12ピンヘッダーを指定場所にハンダ付けします。
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ジャンパー線を3本追加し、ログモジュールと新しいMPUをソケットに挿せば基板の加工は終了。
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・ログモジュールとLEDの干渉について
組みあがって確認すると、2A0に元々付いている3つのLEDの内、赤LEDに追加したログモジュール基板が干渉していました。

2A0と2A1の写真を見比べると、本体LEDの位置が若干外側にずらされています。
最初から2A1を組む場合、追加されるモジュールの事も考えてケースに穴を開けることが出来ますが、2A0にモジュール追加するケースだと、 モノによっては大幅なLED異動が必要になることもあるようです。

モジュールのスイッチを移設して、基板を大幅にカットする手もありそうですが、私の場合は赤LEDの穴を少し外側に広げ、 モジュール基板を若干削って対処しました。
この方法だと2A1とほぼ同じフェイスに仕上がります。

加工という点では本体基板の半田付けよりも、LEDとモジュールの干渉、 モジュールスイッチとLED用の穴あけが一番手間で時間がかかるかも知れませんなー。
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と、いう事で1MBメモリー増設完了です。

これで1走行会丸ごとロギングも可能ですし、パソコンを壊す可能性も低くなりますね。
2A0ユーザーの方々、3000円の値打ちは十分あると思いますよ。