設定した回転数でピカッとランプが光り、オーバーレブを防ぐこの装置ですが、市販品は結構高いですしデザインもマチマチです。
元々、NB1の可変吸気機構のダイヤフラム制御に使えないかと思っていたのですが、市販品を流用するのは勿体無いですよね。
ということで自作できないかといろいろ調べると、Honeybeeというロドスタサイトにたどり着きました。
ここのマスターですが電子工作にかなり強く、部品も不用品などから調達してくるというプライベーターの鏡のような方(笑)
こちらのサイトのシフトポイントインジケーター1を自作したのでその様子を紹介し、私の解る範囲で補足説明などしてみようかと思います。
回路構成
回路図はHoneybeeの方を参照くださいね。
1.IC:LM-2917を中心に構成される、タコメーターパルスの電圧変換部。
2.回転数に対しリニアに変動する電圧出力を受け、トランジスタのスイッチングでLEDやブザーを動作させる回路。
この2つに大きく分けられ、LEDやブザー動作はトランジスタのスイッチングで行います。
採用されている2SA950というトランジスタはコレクタ電流800mAと結構大きな電流を流せるみたいです。 リレーなどの大きな負荷も直接動かせそうですね。
とりあえず製作してみた
インジケーター作ろうかなーと日記ページに書いたところ、一晩で3つオーダーが入った(笑)
単純にLEDを点灯させるだけでなく、フューエルポンプのレジスター接続や切り離しなど、回路を応用して使いたいという希望もあって 「任意回転数でリレー動作」というニーズが以外に多いことを知りました。たぶん簡単に出来るだろうとオーダーを受け、 スペシャルなインジケーターも一緒に作る事にしました。
回路図から必要な部品を拾い出し、嬉々として日本橋でんでんタウンへ。いつも電子部品を買っている共立電子に入って、 リストを手に探します。
まったく同じの型番で見つかるものもあれば、既に製造されておらず代替品を採用することもしばしば。「だって素人なんだもーん」 と店の兄ちゃんに聞きまくり、リストのものは揃いました。
帰宅して早速部品のチェックです。このインジケーターのキモ、LM-2917をまじまじと見る...あれ?LM2907って書いてある... (汗)
8ピンのものはLM2907しかお店になかったので、これだぁっ!と思って買ってきたのですが型式が違います。
あわててICの製造元「ナショナルセミコンダクタ」から、データーシートダウンロードして違いをチェックしてみると、 内部構造はほとんど同じです。
しかし不安を持ったまま作ると、気合をそがれてしまうので確認することにしました。
ええ、HoneybeeのWebマスターに(笑)
Honeybeeの掲示板に、LM2917M-8とLM2907M-8の違いについて自分なりに調べたが、どうしても判断できませーん! と書き込んだ。
すると、LM2907M-8でも特に問題無い事、イザって時の為にICソケットで回路に装着する方が良いですよなど、 丁寧に教えていただきました。
不安解消!気合も十分みなぎる私(笑)
まず実際に1つ作ってみて、部品の配置や動作の確認をしました。1度作れば配置の改善点も見えてきて次に生かせますし。
子供が寝てから組み立て開始。部品配置はできるだけコンパクトになるよう考えて組み立てました。4時間くらいかかったかな?
タコメーターの信号は、変換コネクターを分岐して線を手元まで引っぱってきます。(青線)
動作確認
ロドスタにつなげてみて動作確認すると、お約束どおりうまく動かん。むう~困った。
とりあえずLM2907の電圧出力を見ると以下の値でした。
IC出力(R5-GND)
0.4v@ 800r.p.m ・ 0.8v@2000r.p.m ・ 1.1v@3000r.p.m
1.5v@4000r.p.m ・ 1.9v@5000r.p.m ・ 2.3v@6000r.p.m
2.7v@7000r.p.m
電圧がちょっと低すぎないか?でも回転数が上がれば電圧も比例して上がってるし...
んで、またマスターにメール(笑)
すると、「あまりLM2907の出力電圧範囲が狭いと、可変抵抗で動作回転数を設定するのが結構シビアになります。」とのコメントをいただく。
そういえば、最初動作確認をするとき、 アクセルをブリッピングしつつ上がった回転数がアイドリングに落ちる前に可変抵抗をぐりぐりと回していました。どこかでLEDが光るだろうと。
しかしこの調整方法は間違いで、「LEDを点灯させたい回転数に上げたらそにままアクセル保持。 その後ゆっくりと可変抵抗を回しLED点灯ポイントを探す」というのが正しい調整方法でした。
出力電圧の幅が少ない上間違った調整をしていたので、回路が正しく組まれていたにも関わらずうまく動かなかったようです(悔)
さらに「2ピンに繋がるコンデンサ(C1)か3ピンに繋がる抵抗(R1)の値を変えてやることで、出力電圧を上げることができます」 とマスターにヒントをいただきました。
早速R1の抵抗値を倍にしてみると、おお!電圧が高い範囲(ほぼ倍)で振れるではないですか!
そして正しい調整方法で(笑)可変抵抗をいじってみると、LEDはピカーと光って私の心の隅々までも照らしてくれました!(大げさか)
やっぱり闇雲にいじるより、理屈がわかっている方がはるかに早く解決できますね。いい勉強になります。
これで準備は万端。スペシャルインジケータの製作に入りました。
1.LED点灯のみ(T氏スペシャル)
まずはLEDを1コ点灯させる最もスタンダードなタイプを製作。
各部品を載せる基盤はユニーバーサル基盤を使います。オーダーの仕様がすべて違うので、この方が融通が利きます。
できた基盤とLEDをTAKACHI製のアルミボックスに収めますが、LEDを真ん中に設置しようとすると基盤の部品と干渉してしまいます。
これは周波数/電圧変換回路(以下F/V変換回路)と、LED出力回路を基盤両脇に設置し、LEDのスペースを作る事で解決しました。
ユニット設置位置はハンドルコラムの上になります。T氏のシートポジションは激しく低いので、 この位置でもほぼ目線のまっすぐ先にランプが見えるでしょう。
2.LED1、リレー接点1(m氏スペシャル)
LEDはユニットと別置きし、リレーを1つ動作させるタイプ。
アルミボックスにはLEDが付きませんので、中のスペースは最大限使えます。しかし採用したリレーが思いのほか大きく、 これまた収めるのが大変でした(笑)
LEDはメーターフードに設置して、リレーはフューエルポンプのレジスター制御に使うそうです。
3.LED1、リレー接点2(N氏スペシャル)
さすがに1ユニットに収めるのは無理なので、ユニットは大小2つのアルミボックスに分けました。
小さい方にF/V変換とLED回路。大きい方にリレーとその動作回路を収めます。
3つ目になるとちょっと余裕も出てきたので(笑)少しだけ製作途中の写真を撮ってみました。
ユニバーサル基板を都合いい大きさにカット。
部品をちまちまとハンダ付けします。
組みあがったところで動作確認。良ければアルミの箱に収めます。
製作後のトラブル
このインジケーターのデフォルト負荷はLEDかブザーですが、これにパワーリレーを接続して動作確認すると、どうも様子がおかしい。
普通リレーが動作すると、「カチン」と接点が音を発して動きますが、たまに「チキッ」と動いたのか動いてないのかよくワカラン状態になった。
初めはリレーが焼けたのか?とコイル抵抗を測ったのですが、問題なく62オームと出る。
じゃあ回路に問題があるのかと、リレーが動作したときのコイルにかかる電圧を見ると3.3Vほど。
使用しているリレーの仕様
微妙に最低動作電圧に届いてない事が判明。どないすんねん...(汗)
以下の対処方法は私の思いつきなので、正解かどうかはわかりません。
本当に詳しい方が読まれたら「間違いだらけ」かも知れませんので、独り言として読んでください(笑)
電源電圧VCCは実測で7.4V。
この電圧に対してリレーのコイル抵抗が思ったより効いているようで、トランジスタの分もプラスされて電圧降下が大きい模様。
うなっていても前に進まないので、向かったのはでんでんタウンのマルツパーツ館。
ココのテンチョーは初歩的な質問をしても、嫌な顔一つせず丁寧に教えてくれるので、部品を買うついでにいろいろと教えてもらっています。
回路図片手にどうすればいいか色々聞くと、「ベース電圧が低くてトランジスタがきっちりとスイッチングしてないのとちゃうか?」との事。
ベースにつながっている抵抗10キロオームを調整してみればいいようである。 可変抵抗を購入して帰宅してからトランジスタとリレーの仕様を調べなおした。
コイル抵抗とトランジスタの増幅率からベース抵抗の範囲を計算してみると4.4kオームから9.3kオームと出た。 デフォルトの10kオームでは少し大きかったようである。
1番最初に作った私の基板に可変抵抗をつけ、TL071の6番端子とトランジスタのベース間に割り込ます。
抵抗を小さくしすぎるとトランジスタがパンクするので、そのあたりを注意してまずはエンジン始動。
2000回転位ででリレーを動作させ、電圧計を見ると3.3Vほど。10kオームの抵抗値を徐々に下げると、 コイル間の電圧がそれに連動して上がってきた。
電圧を4V程に調整しエンジン停止。改めて可変抵抗値を見ると6.5kオームでした。
しかし手持のアナログテスターでは、電流値や抵抗値が結構アバウトにしか分かりません。コンマ何オームを正確に知りたかったので、 デジタルテスターを買いに行った。
...高かった(笑)
先程と同じ方法で各部を測定するとやっぱりアナログとは違い、細かい数値を表示します。結局ベース抵抗値は計算式のほぼ下限、4. 8オームに落ち着いた。
ベース抵抗値が解ったので、製作完了したインジケーターの抵抗を変更。動作確認してめでたく完了となりました。
電子回路についてはど素人の私ですが何とか動かしたい!と思いつくまま手を尽くしていき、気がつくとそれなりの形になっていた。
ひとえにHoneybeeマスターのおかげだと感謝しております。ありがとうございました。
また、速攻でオーダー下さった方々。何とか形にしないといけないっ!という状況に追い込んでくださって感謝します(笑)