m84には補助出力(Aux output)が8チャンネルあり、ECU Managerでの割り当てと結線をすればリレー等を自由に動かす事ができます。
最低限必要なフューエルポンプとクーリングファンはすでに割り当てていますが、残りをエアコン制御に割り当ててみました。
スイッチを入れて、エアコンが入るだけの事なので、その喜びを共感しにくいネタですが、意外と普通に動かすのにコツがいるんですよ。
エアコン制御に必要なチャンネル割り当ては以下の通り。
・【B5】AT3 : A/C Request エアコンスイッチ
・【A32】AUX6 : A/C Clutch エアコンリレー
・【A31】AUX5 : A/C Fan コンデンサファンリレー
Auxiliary Output は基本的にアースコントロールとして使います。
これは「Output」と表現されていますが、設定した条件が成立してスイッチ「ON」となった時、電圧等の「出力」 をするのではなく、車体側で電源供給されたリレーコイルの末端(下流)をmotecのスイッチングでアースに落とし回路形成する、 という使い方をします。
(設定によりDC+電圧も出力可能のようですが、エアコン制御に関してはその様に使う事はありません。)
NA8Cの電気回路図を確認すると、純正ECUでアースコントロールする回路になっていましたので、 改めて配線する必要は無いと思います。
A/C Request
ここはmotecに対し、 エアコンスイッチの状態を認識させる部分になります。
純正ECUで割り当られるピンの電圧を確認すると、
・エアコンスイッチ「OFF」で12V(Batt電圧)
・エアコンスイッチ「ON」+ブロアファン「OFF」で12V(Batt電圧)
・エアコンスイッチ「ON」+ブロアファン「1以上」(エアコン動作条件成立)で1V以下
でしたので、A/C Requestの設定値もそれに合わせます。
ここの設定が出来れば、A/C Requestの「ON」フラグが立つと、Auxiliary Outputに設定された「A/C~」 の制御をmotecが連動してくれるという訳。
最初は車体にmotecをつながず、仮電源で条件のみを作りA/C Requestの動作を確認します。
エアコン「OFF」時の入力は12Vですので、【B5】にその電圧を入れてA/C Request「OFF」、アースに落として (0V)「ON」を View Screen – Statusで確認。
A/C Request「OFF」
A/C Request「ON」
実際に車体につないでみると、motecへの入力値はエアコン「OFF」時で3.4V辺りを示し、「ON」では1Vでした。
つないだ線を外し、負荷の無い状態でAT3の電圧を Raw Input Values で見ると、5V辺りの電圧を示します。
1kΩの抵抗で5Vにプルアップされていて、そこを測っているのでそういう事になるんだと思います。
たぶん(笑)
エアコンON-OFFを認識する電圧のしきい値は、最初1Vまでドロップしたのでその辺りの数値を入れていましたが、ファンの風量を上げるとエアコンリクエストが切れてしまいます。
よくよく確かめると、最小と最大風量位置では電圧が違っていました(^_^;)
なので下の数値に修正。
A/C Fan
コンデンサファンの回路にA/C Fanを割り当てると、水温設定と共にA/C「ON」でファンを動作させる事ができます。
A/C Clutch
「ON」「OFF」 の設定値をスロットルポジションと回転数、それぞれ入力します。
んが、英語の説明文をナナメ読みしたばっかりに、ハマリました(笑)
ポイントは設定値以下で「ON」、 設定値以上で「OFF」となる数値入力が必要で、 しかもスロポジと回転数の「ON」条件が両方成立しないと動作しないという事です。
最初、回転数の「ON側」に関していうと、アイドル状態以上で「ON」だろうと思い込み、設定値を「700」と入れていましたが、 実際は設定値以下は「ON」なので、回転を上げて行ってこの回転数でエアコンクラッチを「切り」たい数値を入れるのが正解でした。
なので「5000」と入力。
対する「OFF側」は「ON側」より大きな数値を入れたらOKです。
スロポジも同じく、例えば開度70%でクラッチを切りたいなら「70」を入力し、「OFF側」はそれ以上の数値を入れます。
後は実際にエアコンを入れて走行し、回転数とスロットル開度の兼ね合いを調整し、いい感じになるよう数値を変更すれば良いと思います。
Test Outputs
motecは自身で擬似信号を出力し、制御する負荷を模擬的に動かす “Test Outputs” という機能があります。
motecにPCをつなぎ、ACC「ON」でTest Outputパラメーターを表示。
結線に問題なければ、AUX6 – A/C Clutch を選択し Test Status を押すとクラッチが入り、AUX5 – A/C Fan も同じようにすると、コンデンサファンが回ります。
F3キーを押し、View Screen を出して、エアコンスイッチとブロアスイッチを入れると、「ON」に反転。
これでエアコン関連の結線に問題ない事が確認できました。
この状態に持っていった後、実動作でリレー等の動きに不具合がある場合、設定に問題がある可能性が高いので、 トラブルシューティングに役立ちます。
また、インジェクターやプラグ、ラジエターファン、フューエルポンプなど、 接続している負荷の動作を事前に確認することが出来ますので、結線チェックを効率よく進める事も可能です。